野宿者襲撃・略年表

※2000年代を中心に、少年・若年層による主要な事件をとりあげた(1983~2009年は、北村年子著『「ホームレス」襲撃事件と子どもたち~いじめの連鎖を断つために』(太郎次郎社エディタス)より)。おもに新聞の事件報道をもとに作成。事件後の審判・裁判結果などの詳細まではふくまれていない。
※()内の数字は当時の年齢

1983年
1985年
1986年
1987年
1988年
1992年
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
 

1983年

■2月5日【横浜浮浪者殺傷事件】

横浜市・山下公園で野宿していた須藤泰造さん(60)を、市内の中学生5人をふくむ14歳~16歳の少年10人が襲い、殴る蹴る、ゴミかごに投げ入れて転がすなどの暴行を加えて逃走。須藤さんは内臓破裂などで2日後に病院で死亡。少年らは前年12月から「浮浪者狩り」をくり返しており、事件の直前にも横浜スタジアムで野宿者9人を次々と襲い、2月までに計13人に重軽傷を負わせたとされる。同時期にほかに2人の野宿者が殺害されているが、犯人は特定されず未解決のまま。少年たちは「ゴミを掃除しただけ」「逃げまわる姿が面白かった」「スカッとした」などと話したといい、社会に大きな衝撃を与えた。

1985年

■10月22日 東京都板橋区

東京都板橋区の荒川河川敷で、同区の無職の若者(20)と無職少年4人(15~19)が、橋の下にいた野宿者の男性(42)を金属バットやバールでめった打ちにし、6か月の重傷を負わせた。11/9に傷害で逮捕。5人は同じ公立中学の卒業生で、夕方になると近くの団地や公園などに集合。「浮浪者に追いかけられたことがあり、やっつけようと相談した」という。

1986年

■7月 東京都新宿区

東京都新宿区の西戸山公園で、テントで寝ていた日雇い労働者(37)ら3人が、少年7人と見張り役の中学3年生ら女子2人、無職の男3人(20~22)のグループに襲われる。2日と14日に花火を至近距離から発射、投石、木刀で殴るなどした。1人は左目を失明。

■10月13日 大阪市

大阪市の四天王寺境内で野宿していた労働者ら5人が、中高生の少年3人組にエアガンで次々と襲われ、うち3人が顔などに弾を受けて負傷した。1週間前から爆竹や石を投げられるなどの被害が続いていたが、エアガンによる襲撃は初めてだった。18日、傷害事件で逮捕。

1987年

■1月12日 東京都足立区

東京都足立区の公園で野宿していた男性(59)を、中学3年生3人をふくむ少年5人(14~17)が、「くさい」「コジキやろう」とののしりながら棒などで殴り、脳挫傷などの重傷を負わせた。26日までに5人全員が逮捕。いずれも非行歴があり再三家出。調べでは、少年たちが周囲から「じゃま者扱い」されたりしたため、うさ晴らしにやったのではないかという。

■10月27日 東京都大田区

東京都大田区の多摩川河川敷で、中学生とみられる少年4~5人が爆竹をならして遊んでいたのを、野宿していた男性(59)が「うるさい」ととがめたことから、少年たちに金属バットのようなもので殴られ、頭部などに重症を負う。ほかに33歳と34歳の男性が殴られ負傷。

1988年

■2月26日 東京都台東区

午前2時頃、東京都台東区山谷地区の路上で、中高生ら4人と無職2人のあわせて6人の少年(14~16)が、日雇い労働の男性(46)をかわるがわる蹴ったうえナイフで刺し、1週間のけがを負わせた。その30分後にも、同区内の公園のベンチで寝ていた野宿者(53)を角材のようなもので殴って刃物で刺し、1週間のけがを負わせたとして、3/16に少年2人が逮捕された。

■9月21日 神戸市

午後11時頃、神戸市大倉山公園で野宿していた男性2人(53、58)に、同市中央区内の中学校の少年5人(1年1人、2年3人、3年1人)が、消火器の泡をふきつけるなどして補導される。

1992年

■4月~8月 横浜市

横浜市中心部の公園や地下通路で野宿する労働者が、中学生くらいの少年グループに、花火や爆竹であいついで襲撃される。8月までの5か月間に、わかっただけでも10件。顔などにやけどを負った人や段ボールに火をつけられた人もいた。

■10月

名古屋市で夏以降、公園などで寝ている野宿者をねらった路上強盗、襲撃があいついでいると報道。若者が野宿者の頭にケチャップなどをかけたり、花火で追いかけまわすなどのほか、暴行・収奪・放火などの被害は、同年に入って判明しただけでも30~40件にのぼった。

1995年

■10月15日 東京都北区

午前4:05頃、東京都北区で公園のベンチに寝ていた野宿者の佐藤博忠さん(69)が、暴行を受けて死亡。同区に住む無職少年(17)ら3人が、10分間にわたって殴る蹴るの暴行を加え、内臓破裂で死なせた疑いで、11月に逮捕された。少年たちは、たまり場にしている児童公園のベンチに寝ていた佐藤さんを「むこうに行け」と起こし、佐藤さんが抵抗せずに立ち去ろうとすると「無視するとはなにごとだ」と追いかけたという。

■10月18日【大阪・道頓堀川「ホームレス」襲撃事件】

午前8時半頃、大阪市中央区の道頓堀川にかかる戎橋で寝ていた野宿労働者の藤本彰男さん(63)が、通りかかった若者(24)に川に落とされ死亡した。当初、若い男2人が抱えて川に投げこんだ事件とされたが、共犯とみなされた友人の男性は冤罪で、99年一審判決で無罪判決、2000年控訴審で無罪が確定。主犯の若者は99年控訴審で、懲役4年の実刑判決が確定。裁判長は「友人と共謀して川に投げこんだ」という供述は「取調官の誘導によるもの」と断定し、「2人で投げこんだ」とする一審判決(懲役6年)を破棄。検察側も上告せず、刑が確定した。

■10月19~20日 宮城県・築館町

未明、宮城県・築館町で、公園で寝ていた野宿者の男性(40)を襲撃したとして、同じ中学の3年生7人(いずれも15)が、翌96年4/18に補導された。少年たちはボールや発炎筒を投げつけ、電動式空気銃でプラスチック弾10数発を当てたりしたほか、男性が寝床に敷いていたビニールシートをはがして燃やした疑い。

■10月23日 京都市

午前2:20頃、京都市の鴨川河川敷で、野宿者の男性(52)が、防水工事作業員の少年(17)に暴行を受けてけがをした。少年と高校生1人をふくむ9人(17~18)は、酒を飲んで深夜、河川敷で野宿者の男性を見つけ「何してんのや。仕事しろ」などといい、男性の寝床の段ボールを蹴り、男性がほうきを持って立ちあがったところ、顔を殴ったとされる。逮捕された少年は「面白半分だった」「反撃してきたと思い、よけいに腹が立った」と供述したという。

■11月29日 川崎市

午後3時半頃、川崎市川崎区の港町公園内で、ビニールシート製の野宿生活者のテントが焼かれた。出火当時、公園では3人の中学生らが「火遊び」をしていた。3人は「故意ではなかった」と主張しているが、野宿者側は「放火だ」としている。

1996年

■5月24日 東京都渋谷区

午前1時すぎ、東京都渋谷区の代々木公園で、ベンチに寝ていた野宿者の今井一夫さん(46)と近くにいた男性(34)が少年グループに襲われ、16~17歳の私立高校生や無職少年6人が、のちに逮捕された。今井さんは頭を強く打ち、収容先の病院で8月に死亡。男性は1か月の重傷。少年たちは2つのグループで、「相手のグループに見下されるのがいやでやってしまった。無抵抗で、そのときは面白かったが、あとになって大変なことだとわかった」などと話したという。また野宿者を「虫けら」にたとえて、襲撃を「ケラチョ狩り」と呼んでいた。

■7月12日 東京都北区

午前4時頃、東京都北区の赤羽公園で、野宿生活の男性(62)が、少年5人に襲われ、意識不明の重体となり1か月後に死亡した。同区内に住む都立高校1年生ら15~16歳の少年5人が逮捕される。公園内で酒を飲んで話していたところ、たばこの火を借りに近よってきた男性に「生意気だ」などと因縁をつけ、頭などに殴る蹴るの暴行を加えた。近くで寝ていた別の男性2人も殴られ負傷した。少年たちは「ホームレスはゴミみたいに汚い」「地元の住民のためによくない」などと供述したという。

■9月24日 大阪市

午前0:55頃、大阪市浪速区日本橋の電器店前の路上で寝ていた男性(68)が7~8人の少年に囲まれ、顔面や背中を蹴られるなどしてけがをした。約20分後、約100メートル北の路上で寝ていた男性2人も少年らに殴られるなどし、1人(53)が左腕を骨折、もう1人も軽いけが。さらに約10分後、近くの路上で寝ていた男性(67)が少年たちに殴られ、頭にけがをし病院へ運ばれた。21日午前4時半頃にも、日本橋東で同様の事件があり1人が負傷した。

1997年

■1月18日 大阪府寝屋川市

午後1時半頃、大阪府寝屋川市の淀川河川敷で、野宿者の男性(63)にむかってエアガンの弾1万発を撃ったとして、市内の公立中学2年の男子生徒14人が、3/5に逮捕・補導された。少年たちは男性をとり囲み、約3時間半にわたりエアガン8丁でかわるがわる撃ったとされる。少年らは「最初は紙の的を撃っていたがつまらなくなり、人を標的にした」などと供述。前年6月頃より襲撃をくり返し、加わった人数は一時、約20人にもなったという。

1998年

■6月13日兵庫県西宮市

午前2時頃、兵庫県西宮市内で野宿生活をしていた男性(47)が、度重なる少年グループの襲撃に耐えかね、反撃し、少年2人を刃物で刺した。とび職の少年(18)が死亡し、男子高校生(17)が2週間のけがを負った。関与した少年7人のうち、亡くなったとび職の少年を除く男子高校生らの6人は、3か月ほど前から男性の小屋への投石などをくり返していた。

■11月13日 兵庫県加古川市

午後8:35頃、兵庫県加古川市役所内の庭園で、野宿者の60歳前後の男性が少年3人に殴られ、意識不明の重体となった。市内の土木作業員(16)、中学3年生(14)、加古郡内の大工(16)の少年3人が翌朝出頭し逮捕された。事件当日の夕方、庭園の木立のなかで寝ていた男性をエアガンで撃ったところ、男性が起きあがってきたため、反撃されると思って殴ったりした疑い。

■12月21日 大阪市

午前5時頃、大阪市都島区のスーパーの通路付近で、野宿生活の男性(50)が、顔や手に1週間のけがをしているところを発見された。男性は「毛布で寝ていたら、突然若い男2人にエアガンで撃たれた」と話し、数十発、至近距離から撃たれたという。

1999年

■10月 福岡県北九州市

北九州市内の野宿生活者の3人に1人が、過去1年間に殴られたり石を投げつけられるなど、襲撃の被害にあっていることが、ホームレス支援団体のアンケートでわかった。なかには服に火をつけられたり、殴られて全治1か月のけがを負ったりした人もいたという。「中高生ら若者に襲われた」と答えた人が大半を占め、悪質な襲撃もめだつ。支援団体は、小中学校での人権教育を強化するよう市教委に申し入れることを決める。さらに北九州越冬実行委員会の聞きとり調査報告書によると、62件の襲撃を記録。襲撃者は、19歳以上の若者が27%、中学生が21%、高校生が19%で、青少年による襲撃が7割近くを占めた。

2000年

■1月22日 兵庫県尼崎市

午後11:55頃、兵庫県・阪神電鉄尼崎駅高架下で生活する野宿者3人(46~66)を、市内の中学3年の男子生徒3人(いずれも14)と高校1年の男子生徒(16)が、ビニール製パイプや木刀で殴ったり蹴ったりし、負傷させた。4/12までに3人が逮捕、1人が書類送検された。

■6月15日 東京都墨田区

東京都墨田区と中央区にかけて夜間、連続して野宿者が襲撃される。金属バットで頭を殴られたり、襟首をつかまれ約30メートル引きずられた人もいた。墨田区亀沢の高架下で寝ていた小茂出清太郎さん(68)が内臓破裂などで死亡。3人が負傷。7/26に大学生(18)、アルバイト店員(19)、会社員(20)の3人が逮捕。「日々の生活にいらいらしていた」「殴るとスカッとするのでストレス発散のためにやった」などと供述。

■7月11日 埼玉県入間市

埼玉県入間市の公園で、ベンチに寝ていた男性(60)が、20歳前後とみられる2人組の男性に、竹や手で殴られ、頭などに重傷を負った。

■7月21日 愛知県名古屋市

名古屋市南区の公園で寝ていた男性(66)が、3人組の若い男に胸などを蹴られ、肋骨骨折などの大けがをした。18日にも同区の公園内で寝ていた野宿生活者が被害にあった。

■7月22日 大阪市

午前4:25頃、大阪市・JR天王寺駅前の路上で、野宿者の小林俊春さん(67)が、寝ていた段ボールの囲いに自転車でつっこまれ、殴る蹴るの暴行を受け、出血性ショックで死亡。8/1、同年1月頃から大阪城や天王寺公園付近を中心に、20件以上の野宿者襲撃をくり返していた格闘ゲーム仲間の高校生3人(15~17)とアルバイト店員(20)の男が逮捕される。「野宿者には暴行してもばれない」「ゲームの技を使ってノックアウトするまでやりたかった」などと供述。20歳の男は一審で懲役4年6か月の判決を受けた。

■8月27日 東京都練馬区

午後7:30頃、東京都練馬区の児童公園で野宿していた男性が、殴られ、殺される。公園で花火をしていた若い男女が、男性から注意されたところ、若い男が暴行を加えたという。男女はそのまま立ちさった。

■9月15日 石川県加賀市

石川県加賀市内の小学5年生の男児4人が、野宿者をエアガンで撃つ。

■10月31日 大阪市

午後7:40頃、大阪市東住吉区の平野白鷺公園で野宿していた男性(57)が、中学生の少年3人に「まだおったんか、はよ出ていけ」となじられもみあいになり、囲まれた男性は反撃し、中学2年の男子生徒(14)が1週間のけがを負う。同年夏、中学生の花火遊びを男性が注意したことを逆恨みしたらしい。

2001年

■6月7日 大阪市

大阪市中央区の戎橋で、無職男性(23)が野宿者の女性(34)を道頓堀川へつき落とし、殺人未遂で逮捕される。

■7月29日 大阪市

午前5:52頃、大阪市日本橋電気店街の路上で段ボールを敷いて寝ていた野宿生活の男性(62)が、若い男に油のようなものをかけられ火をつけられた。男性は胸や腹にやけどを負い重傷。

■9月18日 大阪市

午前3:40頃、大阪市天王寺区の路上で、野宿者の棚橋健志さん(53)が顔を蹴られて転倒、後頭部を強く打ち、2日後に死亡した。9/20、中学3年の男子生徒(15)が出頭し傷害致死容疑で逮捕された。

■10月14日 栃木県宇都宮市

宇都宮市内の河川敷で、95年4月に廃品回収業の戸祭力さん(47)を誘いだし、乗用車ではねて殺害した疑いで、当時少年だった24~25歳の会社員ら3人が逮捕される。「遊び半分で何度も車をぶつけているうちに、ひき殺してしまった」と供述。

2002年

■1月25日 東京都東村山市

東京都東村山市のゲートボール場で、野宿していた鈴木邦彦さん(55)が、夜間3度にわたって、地元の中学2年生4人と高校2年生2人の少年たちに暴行され、角材やビール瓶で殴られるなどして全身に打撲を受け、外傷性ショックで死亡した。事件の前日、中学2年生の少年3人は、同市内の図書館で騒いでいたのを、鈴木さんに注意されたことに腹を立て、図書館の前で小競りあいになっていた。翌25日、鈴木さんが寝泊りしているゲートボール場をつきとめた少年らは、同日午後6時頃と同7時頃に鈴木さんを襲って暴行。その後、塾に行く少年がいたためいったん引きあげ、再び合流。同9時20分頃から、高校生らも加わり、約1時間半におよぶ暴行を加えた。「謝れ」「お前が先に手を出した」などと少年らが叫んでいるのを別の野宿者男性が聞いている。警視庁と東村山署は27日までに、出頭してきた同市立中学2年の男子生徒4人のうち、14歳の3人を傷害致死容疑で逮捕、13歳の1人を児童相談所に通告。少年らは「図書館で騒いでいたことを鈴木さんに注意されたので仕返しした」などと供述し、泣いたり「許してください」とわびたりする少年もいたという。14歳の3人は起訴されず、少年院送致。高校2年の2人は起訴され、それぞれ懲役2年6か月以上5年以下、懲役3年以上5年6か月以下の実刑判決を受け、少年刑務所に送致された。

■4月21日 神奈川県

午前3時半頃、神奈川県・茅ヶ崎海岸の砂防林内で、テント内にいた50~60代の野宿者男性3人が、エアガンで遊んでいた若い男6人に至近距離から撃たれ、顔や腕などに全治5日間のけがを負った。逮捕された6人は、16歳のアルバイト少年と23~30歳までの会社員だった。

■7月28日 東京都江東区

未明、東京都江東区内の公園で、都立高校の男子生徒3人(いずれも16)が、酔って寝ていた会社員(33)を野宿者と思いこみ、バケツ一杯の熱湯をかけて顔面に3日間のやけどを負わせた。10/16に逮捕。少年たちは野宿者を狙った襲撃をくり返しており、「ホームレスを軽蔑していた。世直しと思ってやった」などと供述。また、無職男性(52)の全身に熱湯をかけ、大やけどをさせた傷害容疑で区立中学の13歳と14歳の男子生徒2人も補導。

■8月11日 千葉県

午前3時半頃、千葉県・千葉公園の体育館の軒下に寝ていた長谷川勝さん(54)と加賀谷良吉さん(60)が、少年グループに暴行され死亡する。2年後の04年9月11日、事件当時16~19歳の未成年だった男性4人が逮捕。4人は同県佐倉市内の同じ中学校の出身で、配管工(21)=当時無職、倉庫作業員(20)=同大学生、配管工(20)=同専門学校生、家屋解体工の少年(18)=同無職。ゲームセンターで「ホームレスをボコしに行こう」と話し、現場までオートバイでむかったという。配管工らは以前に同公園で野宿者の男性2人が殴られた事件にも関与したとされる。

■8月13日 愛知県名古屋市

午前2時すぎ、名古屋市中村区の公園で、野宿生活をしていた大橋富夫さん(69)が、若い男4人に暴行を受けて死亡。

■10月8日 埼玉県

午前3:30頃、埼玉県・川越水上公園で、野宿生活をしている男性(39)の布団に火をつけ、木製ベンチ2基を焼失させたとして、12/16、別の事件で逮捕されていたとび職の少年(19)が追送検された。

■11月25日 埼玉県熊谷市

午後9時半頃~10時半頃、埼玉県熊谷市の路上で、同市立中学生2年の男子3人(いずれも14)が、野宿生活者の井上勝見さん(45)の頭や腹などを現場に落ちていた角材や水道管で殴る蹴るの暴行を加え、翌26日に急性硬膜下血腫で死亡させた。地検は12月20日、14歳の少年3人を、傷害致死の非行事実で家裁に送致。3人とも「少年院送致が相当」とする意見をつけた。少年審判の結果、3人は初等少年院送致となった。被害者の井上さんは1年ほど前から同市北部地域を転々と歩き回り、「おにぎりください」「あたたかいものください」などと物乞いしながら生活していた。事件の2か月以上前の9月上旬、主犯の少年の家に井上さんが物乞いに訪れたことがあり、少年の父親は「出て行け」とどなって追い返した。その頃から少年は井上さんを暴行するようになり、つばを吐いたり、自転車に乗りながらとび蹴りを加えたりし、やがて別の少年も誘っていっしょに石を投げたりするようになった。逮捕後、3人はいずれも「死ぬとは思わなかった」と話し、「ごめんなさい」と泣き続けた。少年審判で、少年の1人は「友だち以上にやることが強さだと思った。やらなければ男じゃないと思った」、別の少年は「いっしょにいてやらざるをえなかった。やらないと仲間はずれになると思った」と述べた。

■12月4日 愛知県名古屋市

午前0時すぎ、名古屋市中川区のガード下で、吉本一さん(57)が、若い男3人組にいきなりスプレーをかけられ鉄パイプで殴られ病院に運ばれたが、肺挫傷などで死亡した。

2003年

■2月5日 東京都世田谷区

午後7:50頃、東京都世田谷区の公園で寝ていた60歳くらいの男性を、中学3年の男子(15)がナイフで刺し、死亡させる。

■2月11日 茨城県水戸市

茨城県水戸市の橋下で、高校3年の女子生徒(18)をふくむ男女4人が、野宿生活をしていた海老根治さん(34)の頭や顔に暴行を加え殺害。「いっしょに酒を飲んでいたところ口論になり、服を脱がせて川に落とした」と供述。

■2月14日 大阪府守口市

午前2時半頃、大阪府守口市・鶴見緑地の休憩所で寝ていた野宿者の男女7人が、少年30人に金属バットや鉄パイプで殴られた。男性1人(59)が肋骨を折り1か月の重傷、3人が頭や腕に軽傷を負う。翌15日に出頭した14~18歳の少年17人のうち、3人(16~18)が傷害容疑で逮捕された。

■4月17日 愛知県名古屋市

午後10時頃、名古屋市の港北公園で、野宿者2名が数名の若者に暴行を受け、小笠原秀男さん(65)が死亡した。

■6月11日 東京都練馬区

午後9:40頃、東京都練馬区の公園で、若い女性が、寝ていた野宿者男性(59)にいきなり刃物で切りつけて逃走した。男性は首を2か所切られて重傷。

■6月18日 東京都江東区

午前1時頃、東京都江東区の旧中川で、野宿者の東保起さん(64)が水死する事件が起こる。翌04年1月、東さんを強引に川に飛びこませて死なせたとして、同区に住む16歳の無職少年2人が逮捕された。調べによると少年2人は、東さんを無理やり川岸へつれていき、顔面を殴り「川に飛びこめ」と命令。いやがる東さんに石や鉄板を投げて川の深みへ追いこんだ。警視庁は当初、事件性がないと判断し、司法解剖もしていなかった。が、現場を目撃したほかの野宿者らの証言などから捜査。2人は03年4月頃から野宿者への暴行事件を10数件起こしており、「人間のくずなので、死んでもいいと思った」などと容疑を認めたという。

■8月11日 大阪市

午前1時半頃、大阪市西成区萩之茶屋の高架下で、バイク6~7台に分乗した若い男10数人が、路上で寝ていた廃品回収業の男性(61)の頭を金属バットで殴って逃走。約1時間後、2.2キロ離れた場所で同様に路上で寝ていた男性(46)の全身を金属バットで殴り逃走。

■8月11日 大阪市

午前1:45頃、大阪市浪速区の路上で、野宿者の男性(54)が鉄パイプなどで殴られ負傷。8/13、大阪市内の中学3年の男子(15)と住居不定の無職少年2人(15、16)の2人が、傷害容疑で逮捕・送検された。「追いかけてくる野宿者から逃げるスリルが面白くてやった」「被害届を出さないだろうと思い、過去にもホームレスばかり5回くらいやった」などと供述したという。

■9月15日 静岡県静岡市

午前2:20頃、静岡市清水地区で野宿していた井上陽三さん(55)が、日系ブラジル人の少年(17)と男性(22)に暴行を受けて死亡。9/18、2人は傷害致死容疑で逮捕された。彼らもその家族もカトリック信者で、家族や知人は浜松市での野宿者支援活動にかかわっていた。この事件を機に、清水地区でもカトリック信者のブラジル人を中心に、野宿者への夜まわり活動が始められるようになった。

■10月17日 神奈川県川崎市

川崎市川崎区に住む公立小・中・高校の男子10人が、傷害などの疑いで逮捕・補導される。少年のうち7人は5/24夜、同区の公園でいすに寝ていた男性(52)を蹴ったり、頭を自転車の空気入れで殴ったりして18日間のけがを負わせた。さらにメンバーが一部違う7人が8/28午前1時半頃、同区の公園のベンチに寝ていた男性(68)を暴行。小6男児も加わっていたという。6/21夜にも6人が、駐車場で寝ていた男性(64)に暴行した疑い。「ストレス解消のためにやった。社会のゴミを退治するという感覚だった」などと話したという。

2004年

■04年11月~05年にかけて 東京都

東京都の隅田川地域で襲撃が多発していることを山谷争議団・反失業闘争実行委員会が報告。中高生くらいの子どもが数人~集団で自転車でやってきては、角材で路上生活者の小屋を破壊したり、野宿者に石をぶつけたり、いすで殴ってけがをさせるといった事件がひんぱんに起こっていることが報告された。

2005年

■7月5日 兵庫県尼崎市

兵庫県尼崎市内で、野宿者の男性の小屋に花火を投げこむなどしていた男子高校生4人が補導される。当初、男性が高校生1人の首を絞めたとして暴行容疑で逮捕されたが「この生徒らに、小屋に花火を投げこまれ、仕返しでやった」と供述。高校生らは事実を認めた。

■7月13日 東京都墨田区

東京都墨田区・大横川親水公園の遊歩道で、香取正光さん(64)とみられる野宿生活の男性が襲われて死亡。死因は失血死で、左側頭部が陥没し大量に出血していたほか、肋骨が折れていた。16日、定時制高校の生徒で、同区内の少年(19)と江東区内の青年(20)が殺人の疑いで逮捕された。2人は午前3時半頃、仲間と酒を飲んで帰宅する途中に被害者を見つけ、襲撃したという。事件直前の12日は前期試験の最終日だった。

■7月18日 東京都足立区

未明、東京都足立区の荒川河川敷にある橋の下で、都立高校生7人(15~16)が、ビニールテント内にいた野宿者の男性(43)を外に出し、殴る蹴るなどの暴行をした疑いで、10/25に逮捕された。男性にロケット花火を発射するようなこともしていた。少年たちは「4回くらいホームレスに暴行した」「ホームレスなら警察に届けないと思った。怒った顔が面白く、ストレス発散になった」などと供述。

■10月22日 兵庫県姫路市

午前4:15頃、兵庫県姫路市の夢前川にかかる橋げたの下で寝泊りしていた雨堤誠さん(60)が、少年グループに火炎瓶を投げこまれて焼死した。雨堤さんは足が不自由で逃げ遅れたとみられる。翌06年3月、中学3年の男子(15)、高校3年の男子(18)、無職少年2人(ともに16)の4人が逮捕された。家裁は同年5月、当時18歳の少年を「主導的役割を果たしており、刑事処分が相当」として検察官送致(逆送)し、地検が起訴。ほかの3人は初等・中等少年院送致とした。殺人罪などに問われた少年は、ほかの少年らと空き瓶にガソリンを入れて火炎瓶をつくり、雨堤さんの寝床に投げこんだことは認めたものの「なかに人がいるとは思わなかった」と殺意を否認。07年1月判決公判で、地裁は「人が死亡するにいたるかもしれないことを認識していた」として少年の未必の殺意を認定、懲役5年以上8年以下の不定期刑をいい渡した。

2006年

■11月 愛知県岡崎市

愛知県岡崎市内で連続して11件の野宿者襲撃事件が発生。11/19には、乙川河川敷で野宿生活していた花岡美代子さん(69)が金属パイプなどで顔や体を殴られ、失血死で死亡した。逮捕された市内の中学2年の男子生徒3人(いずれも14)は、少年の1人の自宅に居候していた無職の男(28)と共謀し、金品を奪う目的で花岡さんを襲ったとして、強盗致死の非行事実で少年院送致となる。少年2人は不登校、貧困で家庭環境が複雑な少年もいた。少年らを指示したとされる28歳の男は、10月に失職しホームレス状態だった。一連の襲撃事件への関与を認めたうえで、弁護側は「知的障害があり、死亡という結果を予想しえなかった」と殺意を否認。09年4/6地裁判決は、未必の殺意を認定し無期懲役をいい渡した。

2007年

■2~3月 大阪市

大阪市東淀川区の淀川河川敷で暮らす野宿者の男性3人が、2月下旬から3月にかけて、少年グループに襲撃される。市内に住む14~15歳の少年11人が、4月に書類送検された。2/28夜には、10数人の少年が金属バットや鉄パイプで小屋をたたき壊しているのを近所の住民が目撃。学生服姿の少年もおり、少女の声も聞こえたという。

■5月13日 東京都北区

午後11:55頃、東京都北区の赤羽公園で、高校生をふくむ少年5人が、酒に酔ってベンチで寝ていた清掃作業員の男性(52)を野宿者だと思い、腹の上にオイルを入れたポリ袋を置いてライターで火をつけた。男性は火だるまになり、噴水に飛びこんだが、全身の3割にやけどを負う重傷。5人は事件2日前から、「ごみ掃除」と称し、公園にいた野宿者の女性(59)や別の男性(52)にオイルをかけて火をつける行為をくり返していた。

■6月5日 埼玉県朝霞市

午前4時半頃、埼玉県朝霞市の河川敷で、野宿生活をしている男性(43)の寝ていた段ボールハウスにサラダ油をまき、放火しようとしたとして、大学生ら男女4人が逮捕された。大学4年の女子学生(21)、専門学校の男子学生(20)、大学2年の男子学生2人(ともに19)は、深夜バーベキューをしているうち「殺せ」「燃やせ」などと騒ぎ、段ボールハウスを“焼き打ち”しようとした疑い。4人はカラオケ店のアルバイト仲間だった。

■6月19日~09年1月2日 東京都府中市

19日夜から20日未明、東京都府中市の多摩川河川敷で野宿者の男性(64)が頭などを鉄棒や刃物のようなもので10数回殴られ切りつけられるなどし、重傷を負う。08年6/20午前4:25頃、国立市の多摩川河川敷で野宿者の男性(63)が頭部を鉄パイプで殴られ、約2週間の負傷。09年1/2午後5:30頃、世田谷区内の高速道路高架下で寝ていた近藤繁さん(71)が鉄パイプで殴られ死亡。09年1/3、多摩市に住む軽度の知的障害がある男性(36)が逮捕。上記3件の事件の殺人未遂および殺人で起訴された。ほかに08年6/27未明、府中市で野宿者の福岡正二さん(74)を鉄パイプのようなもので殴打して殺害したとして再逮捕されたが、地検は「公判を維持できるだけの証拠が集まらなかった」として不起訴。一審では被告が軽度の知的障害のため、殺意を認定せず傷害致死、傷害とするとともに責任能力を認めなかったため、検察側が控訴。11年5月、一審懲役12年判決。12年3月、東京高裁は、3件とも殺意があったと認め、懲役22年の判決(一審破棄)。同年12月、被告側上告棄却、確定。

2008年

■1月20日 大阪市

深夜、大阪市中央区の大阪城公園で野宿していた男性3人が少年グループに襲われ、1人が救急搬送された。就寝中、腹にこぶし大の石を投げこまれ、追いかけていくと、石を投げつけられ、木の棒で殴られたという。1人は背中・足・腕などを殴られ、1人は頭から出血。捕まった9人の少年は襲撃を否認。

■2月16日 大阪市

大阪市日本橋で、前年の夏以降、野宿生活者が少年グループから生卵を投げつけられる被害があいついでいると報道。

■4月9日 愛知県名古屋市

未明、名古屋市中川区の河川敷にある野宿者のテントや小屋が、つづけて全焼した。いずれも近くで3人組の若い男たちが目撃されている。

■6月27日 東京都府中市

未明、東京都府中市の中央自動車道高架下の公園で、野宿していた福岡正二さん(74)が何者かに襲われ、頭などを強打されて殺害された。検視の結果、頭部の損傷が特に激しく、死因は頭蓋内損傷の疑い。左脇腹や左腕、下半身など10数か所の切り傷があった。争った跡がないことから、突然襲われて殺害された可能性が高いとみられた。倒れていたベンチ周辺には血痕が多数飛びちり、約2メートルの高さの柱にも5ミリ程度の血のりが残っていた。

■10月20日 東京都大田区

夕方、東京都大田区の多摩川河川敷に座っていた野宿者男性(56)が、17~18歳ぐらいの若い男5人に、突然、鉄パイプで襲われ全身打撲の重傷を負った。

■10月29日 福岡市

午前3:45頃、福岡市の路上で、13~18歳の少年7人が、車上生活をしていた男性(58)を襲う。車にペットボトルを投げつけて男性を外に誘いだし、生卵10個を投げつけ、木の棒で殴るなどし、男性は肩に軽傷を負った。12/4、少年7人が逮捕・検挙。「ホームレスが反撃する姿が面白かった」「卵がついたら、においで困るだろうと思った」などと供述。

2009年

■2月10日 東京都江戸川区

午後9時頃、東京都江戸川区松江の首都高速7号線の高架下で、野宿していた男性(64)を集団で暴行し、けがを負わせたとして、4/22、同区立中学校の3年生(14)3人と無職少年(15)、当時13歳の同中学3年生の少年ら5人が、逮捕・補導された。逃げる男性を追いかけ、約40分間にわたりアルミ製の棒や鎌の柄で殴り、顔を7針縫うなど10日間のけがを負わせた疑い。少年らは容疑を認め「こじきは人間のくず」「ゲーム感覚でいためつけた」などと供述。男性を映画『ハリーポッター』のキャラクターに見立てて「ハグリッド狩り」と呼んでいた。5人は小学校時代からの遊び仲間。前年12月から6~7回、野宿者への暴行をくり返していたという。

■4月8日 東京都江戸川区

午前4:20頃、東京都江戸川区の首都高速7号線下の敷地内で野宿していた男性(65)を鉄パイプなどで殴って重症を負わせたとして、傷害と暴力行為の疑いで、同区立中学3年生(14)が逮捕されていたことが、警視庁への取材で7/2明らかになった。少年は、寝ていた男性にコンクリート片を投げつけ、追いかけてきた男性を約300メートル離れた路上で鉄パイプで殴りつけ、脳挫傷など約1か月の重傷を負わせた。さらに消火器を噴射したり、角材を投げつけたりしたという。少年は「今年に入ってホームレスを4、5回襲った」「怒って追いかけてくるのが面白くてやった。いまはちょっとやりすぎたと反省している」と供述。その場には同区内の少年4人がいたとみられているが、暴行には加わっていないとされた。

■8月16日

神戸大学4年の男子学生が、インターネットの会員制交流サイト「ミクシィ」にホームレスの人を襲う映像を投稿。10/29同大学は男子学生を厳重注意したと発表した。学生は大学側の調査に「グループ内で見るためのパフォーマンスだった。撮影者や路上で寝ていた人は友人だった」と謝罪したという。

■8月27日 福岡県久留米市

午後10:15頃、福岡県久留米市の筑後川河川敷で、野宿者の男性(51)が住む小屋に、竹ぼうきをライター用のオイルにひたして火をつけ、小屋の屋根に置いて放火したとして、翌28日、同市在住の私立高校1年生3人(いずれも15)が逮捕された。男性は当時、外に出ており、けがはなかった。3人は容疑を認めており、数日前現場近くでロケット花火をした際に、男性から文句をいわれたことから仕返しを思いついたという。

2010年

■2月2日 大阪市

午後9時頃、大阪市住之江区内で、野宿者の男性が少年とみられる4人組に襲われて重傷を負った。

■3月29日 兵庫県尼崎市

午前0:50頃、兵庫県尼崎市の武庫川河川敷で、野宿者の男性(65)が寝ていたテントが燃やされる事件があり、4/30、同市立中学3年の男子生徒2人(ともに14)が逮捕された。男性は逃げて無事だった。2人は「以前からホームレスらに石を投げつけていた。男性が投げ返してきたので、腹が立って火をつけた」「死んでも構わないと思った」と供述。現場には男性を含め4人の野宿者が生活しており、少年らは3月以降、投石をくり返していたという。

■7月 愛知県名古屋市

名古屋市昭和区の鶴舞公園で、野宿生活をする人たちが打ち上げ花火を撃ちこまれる被害があいつぎ、男性1人が首に1週間のやけどを負った。少年グループによる襲撃とみられる、と報道された。

■8月15~16日 兵庫県神戸市

15日午前3~4時頃と16日午後10:45頃、兵庫県神戸市中央区の公園で、眠っていた無職の男性(83)や、男性のブルーシートなどに連射式花火を撃ちこんだとして、とび職見習いの少年(17)、無職少年(17)、県立・市立高校2年生(16、17)の男子生徒ら合計11人が10/30までに逮捕された。

■9月18日 東京都千代田区

午後7:25頃、東京都千代田区の公園で、寝泊まりしていた耳が不自由な無職男性(67)に熱湯をかけ、全治約1か月のやけどを負わせたとして、中学3年の男子生徒(14)が逮捕された。少年は約1週間前から男性に石を投げる、洗剤をかけるなどのいたずらをくり返しており、事件時は同級生らと同公園で遊んでいた際、近くのコンビニの電気ポットから熱湯を紙パックに入れて用意したという。事件の3日前に、ベンチ付近を掃除していた男性から、場所を空けるようにいわれたことに腹を立て、熱湯をかけることを思いついたと供述。

2011年

■1月11日 群馬県伊勢崎市

午後11時頃、群馬県伊勢崎市の広瀬川河川敷で、野宿者の男性(67)に石を投げてけがをさせたとして、同市立中学校2年の男子生徒4人(いずれも14)が、翌12日に逮捕された。4人は以前にも同様の行為をしたことをほのめかす供述をしているという。いっしょに橋の下に寝ていた男性が助けを求め、通りかかった女性が110番通報した。

■3月 大阪市

大阪市西成区津守の公園で計30~40回、数人から約20人の若者のグループが石やれんがを投げつけたり、ロケット花火を撃ちこんだりして野宿生活者を襲撃し、少なくとも1人がけがをしていた。

■6月22日 東京都千代田区

午前5時頃、東京都千代田区の首都高速の高架下で野宿生活者が寝泊まりしていた段ボールから火が出て、近くに置いてあった板や自転車なども燃えた。この2時間前にもおよそ1キロ離れたJR神田駅の高架下で、同じく野宿生活者が使っていた段ボールが燃えた。警視庁は、同一犯による連続放火の可能性もあるとみて捜査。

■12月11日 東京都江東区

午前2:20頃、東京都江東区の大島小松川公園で60代の野宿者の男性が「子どもたちに殴られた」と近くの交番に届けでた。男性は肋骨3本が折れるなど重傷を負っていた。

2012年

■1月~3月 愛媛県松山市

愛媛県松山市内の地下道などで暮らす野宿者が、高校生とみられる複数の人物から頭を殴られたり、石などを投げられたりする被害を受けていることが、ホームレス支援団体の調査でわかった。被害は前年末から始まり、高校生風の若者3~4人が主に週末の深夜、野宿者の段ボールハウスを蹴ったり、ものを投げこんだりする事件がつづいた。2月には男性が2人組の若者にガラス瓶のようなもので頭を殴られて出血し、救急搬送。3月には卵や石などを投げこんだり、消火器を噴射するなどの事件もあった。

■2月1日 東京都中央区

午前6:15頃、JR東京駅近くの中央区八重洲の路上で、野宿していた女性(67)のそばにあったビニール袋に火をつけ衣服に燃えうつらせ、殺害しようとした疑いで2/28、警備員の少年(18)が逮捕された。女性は両手や下半身をやけどして全治3か月の重体。少年は2/8早朝、港区新橋の公園のベンチで休んでいた40代の男性会社員に火をつけたとして現行犯逮捕されており、2/1の事件で再逮捕となった。

■2月28日 神奈川県厚木市

午前2時半頃、神奈川県厚木市の河川敷で野宿していた男性(59)の顔や腹を殴り、硬膜下血腫など1か月のけがを負わせたとして、3/14、無職少年(16)と中学2年の男子生徒(14)を逮捕。2人は同じ中学の先輩と後輩。以前から男性に石を投げるなどしており、「あいつをやりに行こう」と河川敷にむかったという。近くにいた別の野宿者が119番した。

■3月~5月 兵庫県神戸市

神戸市中央区のかもめりあ付近で、若者たちが看板などで野宿者を殴りつける事件が連続し、あばら骨を折られた1人が入院した。

■4月~5月 東京都墨田区

東京都墨田区およびその周辺で、場所によってはほぼ毎日、中学生と思われる子どもが野宿者や小屋にむかって石を投げるなどの襲撃がかつてない激しさで頻発しているとして、支援団体が襲撃を止めるようビラを作成、地域に配布した。

■6月20日 三重県四日市市

午後7:25頃、三重県四日市市の高架下にある男性(62)のテントから出火、全焼した。何者かが発煙筒を投げこんだ可能性があるとみられている。

■7月 京都市

京都市山科区で、公園で野宿していた男性(57)が突然殴られ、逃げたところを追いかけられて殴る蹴るの暴行を受け、顔などに全治約1週間のけがを負った。

■7月27日 大阪市

午後7時頃、大阪市淀川区の河川敷で45歳と62歳の男性2人が生活している小屋に花火を投げ、約20平方メートルを全焼させたとして、中学1年の男子生徒7人(12~13)が補導され、児童相談所へ通告された。男性2人は留守で、けがはなかった。

■10月13~14日 大阪市

13日午前3時頃、JR大阪駅高架下で野宿していた富松国春さん(67)が、少年グループに頭や腹を殴られるなどの暴行を受け、搬送先の病院で翌14日、外傷性くも膜下出血で死亡した。ほかにも13日未明から14日未明にかけて阪急梅田駅周辺で、40~80代の野宿者4人があいついで暴行を受け、1人が脳挫傷で入院、3人が負傷した。関与したとされる無職少年2人(16、17)、飲食店アルバイト(16)、鉄筋工(16)が殺人など、府立高校1年生(17)が傷害などで逮捕され、大阪家裁に送致された。少年らは中学校の同級生で、「殺す気はなかったが、殴ったらスカッとするのでやった」「面白半分というかノリで襲った」「死ぬとは思わなかった」などと供述。アルバイト少年の携帯電話には、富松さんのほかに3人の野宿者を暴行する様子を撮影した動画が保存されていたという。翌2013年2/1、大阪家裁は、殺害に関与した疑いの少年4人を検察官送致(逆送)、府立高校生を中等少年院送致の保護処分と決定。2/8、大阪地検は逆送された4人を殺人などの罪で起訴。裁判員裁判で審理される。

2013年

■3月2日 大阪市

夜11時20分ごろ、花園公園北西角歩道上でテント生活をしているFさんはバタバタとテントに何か当たる音がして目が覚めた。上半身を起こし、靴を履こうとしているときに右頭部に痛みがあり、その直後、血がしたたるのを見た。Fさんはそばにあったタオル様のハンカチで頭を押さえテントの外に出た。テントの上に、大きなモルタル片がのって、テントの周りには他にもいくつものモルタル片が散らばっていた。建物の陰からこちらの様子を見ている3、4人の少年たちを目撃した。Fさんは病院に搬送され、頭部の傷口を4針縫った。

2014年

■2月 松山市【集団で路上生活者に生卵、松山 投げつけ7件】

(共同通信 2014/03/12 05:03)
松山市中心部の市役所に近い地下歩道で2月、路上生活者が若い男の集団に襲われ、生卵を投げつけられる被害が7件相次いでいたことが12日、路上生活者の支援団体への取材で分かった。集団は10~20代とみられる3~6人組。1人の路上生活者に20個以上の卵を執拗にぶつけ続けたり、笑いながら「追い掛けてみろ」と挑発したりすることもあった。
襲われた路上生活者の中には「怖くて眠れなくなった」と訴える人もおり、松山東署は暴行容疑などで捜査。男らの特定を進めている。

■3月2日 長崎市

2日午前4時40分ごろ、長崎市中心部で50代の野宿者を蹴るなどしたとして、長崎市の無職の男(43)が暴行容疑で長崎署に現行犯逮捕された。寝袋や段ボールを使わず、厚手の上着を着て横たわっていたら、足が蹴られたように感じ、目を覚ました。蹴った男は酔っているようだった。言いがかりをつけ、「起き上がれ、起き上がれ」と言った。起き上がらない男性に、男は殴る蹴るの暴行を加えた。男性は顔を手で覆い、ひたすら耐えた。通行人に警察を呼ぶように頼み、駆けつけた警察官が男を逮捕した。
男性は県外出身。7年半ほど前に仕事をやめて長崎に来た後、路上生活に陥った。飲食店の残り物などを食べて生活しているという。仕事を探す気力はないが、「ここから抜け出したい」と思っている。「(被害に遭い)悲しくてたまらない。安心して寝られる場所がほしい」と語った。

■8月5日 松阪市

【ホームレスに強盗傷害容疑で松阪の少年4人逮捕 三重】
(産経ニュース 2014.8.7 03:08)
松阪署は6日までに路上生活者(ホームレス)の男性(61)に暴行し、バッグなどを奪ったとして、強盗傷害容疑で松阪市の14?17歳の少年4人を逮捕した。うち2人は中2(14)と高1(15)だった。同署は他に17歳と18歳の少年も関与したとして同容疑で逮捕状を取り、行方を追っている。
松阪署によると、男性は頭と胸に1週間の打撲。4人のうち、1人は「知らない」と容疑を否認、3人は認めている。
逮捕容疑は5日午前4時半ごろ、松阪市京町一区の東口公園で、ベンチで休んでいたホームレスの男性を蹴ったり、頭を石で殴ったりなどし、財布や預金通帳などが入ったリュックサックやバッグを奪った疑い。

■8月14日 東京都

【野宿者襲撃の実態と東京都への申し入れについて】
本日(2014年8月14日)、「野宿者への襲撃の実態に関する調査」を公表しました。
これまでも、野宿者(ホームレス状態の人)が暴力を受け、大きなケガをしてしまったり、場合によっては命を奪われてしまうことも起きていました。
そういった野宿者への暴力(襲撃)の実態を明らかにするために、都内各地のホームレス支援団体・生活困窮者支援団体等の協力により、全国で初めてであろう襲撃被害の有無について、347名の野宿者へのアンケート調査をおこないました。

野宿者への襲撃の実態に関する調査(概要編)
今回の調査からは、
・40%の人が襲撃を受けた経験あり。
・襲撃は夏季に多く、襲撃者(加害者)の38%は子ども・若者。
・襲撃者は75%が複数人で襲撃に及んでいる。
・襲撃の内容としては、なぐる、蹴るなどの「身体を使った暴力」やペットボトルやたばこ、花火などの「物を使った暴力
が62%を占めている。
・子ども・若者の襲撃は「物を使った暴力が53.6%にのぼる。

2015年

■12月~3月 福岡市

【不審火 ホームレス狙い放火か 福岡の舞鶴公園周辺、昨年末から8件】
(毎日新聞 2015年04月02日)
福岡市中央区の舞鶴公園周辺で暮らすホームレスのテント小屋などが燃える不審火が、昨年12月から8件発生していることが支援団体などへの取材で分かった。けが人は出ていないが、小屋が全焼した事例もあり、支援団体は「人命に関わる」として福岡県警に相談した。県警も連続放火事件の可能性があるとみて器物損壊容疑で捜査している。【野呂賢治】
 ホームレスの支援をするNPO法人「おにぎりの会」(福岡市博多区)や福岡・中央署などによると、舞鶴公園周辺で不審火が始まったのは昨年12月11日。ホームレスが寝泊まりするテント小屋2軒に火が付けられ、一部が燃えたという。
 今年2月にはテントの脇に置かれた荷物やリヤカーが燃える不審火が3件続き、3月11日にもテント小屋2軒と荷物が相次いで燃え、このうち1軒がほぼ全焼した。この小屋は当時不在で、他もすぐ避難するなどして負傷者はいなかった。
 いずれも火の気がないところから出火しているとみられ、2月の火災では現場付近から立ち去る男の姿が目撃された。寝泊まりする場所を失い、公園からいなくなったホームレスもいるという。支援団体は夜間の巡回を強化している。

2016年

■4月12日 大阪市

12 日深夜 01 時 50 分頃、大阪市北区天神橋の高速道路の高架下で、65 歳のホームレスの男性の布団が燃えているのが発見された。さらに近くで寝ていた 56 歳のホームレスの男性が使っていたカーペットからも煙が出ているのが発見され、火はすぐに消し止められ、2 人にけがはなかった。

 


参考:生田武志ホームページ